[Mycological and serological diagnosis of cryptococcosis].

Abstract
クリプトコックス症の菌学的診断法ではCryptococcus neoformansの血清型を含めた同定を因子血清を用いて迅速に行うことが可能である.当教室における同定では,A型,D型およびA-D型はそれぞれ86,10および4%で,D型は皮膚科領域で分離される頻度が高い. 本症の血清学的診断法として,抗体感作ラテックス凝集反応(LA)による抗原検出法が感度と特異度にすぐれた方法として使用されている.LAは予後の判定にも有用であるが,菌の分離培養陰性化後,抗原血症が持続し再発する症例もある.ウサギを使用した基礎実験で,多糖類抗原は2-コンパートメントモデルの動態をとることが示された.分布相および消失相の生物学的半減期から,抗原価の低下が遅い症例では生菌の存在も推定される. 近年原因菌種の多様化が報告されており,C.albidusおよびC.laurentiiが臨床材料から分離されている.C.albidusC.neoformansと同一の抗原パターンを示すが,C.laurentiiでは交差反応性は認められない.LAにおいてもC.albidusの多糖類抗原はC.neoformansと同程度に検出されたが,C.laurentiiは反応性が著しく劣った.今後は菌学的および血清学的両面で原因菌種の多様性を考慮した検討が必要となる.

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