Therapeutic Effect of Lisuride Maleate on Post-stroke Depression.
- 1 January 1994
- journal article
- clinical trial
- Published by The Japan Geriatrics Society in Nippon Ronen Igakkai Zasshi. Japanese Journal of Geriatrics
- Vol. 31 (1) , 52-59
- https://doi.org/10.3143/geriatrics.31.52
Abstract
脳血管障害後のうつ状態に対する, dopamine agonist 作用を有する lisuride maleate 投与の意義を検討する目的で, 113例の慢性期脳血管障害患者について, そのうつ症状の程度を仮面うつ自己評価スケールを用いてスクリーニングした. その結果, スコア合計が11点以上で仮面うつ症あるいはその疑いありと考えられた20例に対し, lisuride maleate (オイナール(R)錠) 0.075mg/日を投与して経過を観察した. うつ症状の重症度推移は Hamilton スケールを用いて項目別に定量的に評価した. また, 薬剤投与前に実施したCT, MRI検査画像上の病変の局在等とうつ症状の重症度との関係について, スコア合計点数が11点以下であったが, 仮面うつ症の疑いありと診断された4例も加えて, 24例を対象として検討した. うつ症状の重症度は lisuride maleate 投与4週以降で有意に低下し, 項目別では, 評価した18項目のうち, 抑うつ気分, 意欲減退, 睡眠障害, 不安感, 日内変動などの9項目で重症度の有意な低下が認められた. また投与4, 8, 12週後におけるうつ症状全般改善度は, 軽度改善以上では各々55%, 82%, 88%であり, 特に8週以降において安定した改善度を示した. 画像診断上の病変とうつ重症度との対比では, 病変のある群において, 病変の無い群に比して重症度が高い傾向が認められたが, 病変の局在の違いによる重症度の差は認められなかった. また, 脳溝開大が高度なほどうつ症状がより重症であった. 以上, lisuride malease が脳血管障害後のうつ症状全般に対して高い有用度を示すことが客観的, 定量的手法によって確かめられ, 本剤の投与は, うつ状態の改善を通じて脳卒中患者の社会的予後を改善することに有効であると思われた.This publication has 0 references indexed in Scilit: