Thyrotropin-releasing hormone (TRH): Enhancement of dopamine dependent circling behavior and its own circling-inducing effect in unilateral striatal lesioned animals

Abstract
Thyrotropin-releasing hormone(TRH)によるdopamine(DA)agonist旋回運動の増強作用ならびにTRH自体の旋回運動誘起作用について検討した.6-OHDA注入による一側線条体破壊マウス,ならびに吸引除去による一側線条体破壊かつreserpine前処置マウスにTRH2.5~20mg/kgを腹腔内投与すると,apomorphineまたはL-DOPAによる旋回運動は明らかに増強された.また,reserpine前処置,非破壊マウスにおいても,TRHはapomorphineの常同行動誘起作用を増強した.上記TRHのDA agonistの旋回運動増強効果はα-methyl-para-tyrosine(α-MT)またはGABA関連薬物の処置により修飾された.すなわち,6-OHDA破壊マウスではα-MTおよびGABA関連薬物により抑制され,吸引破壊マウスではα-MTによりさらに増強され,GABA関連薬物では影響されなかった.上記6-OHDA破壊マウスにおいて,TRHの前処置はDAまたはapomorphine添加による破壊側線条体スライスのcyclic AMP生成を増強したが,健側スライスのそれには無影響であった.これらの結果はTRHのDA性旋回運動増強はそのcyclic AMP生成の増加と密接に関連していることを示唆する.一方,6-OHDA注入による一側黒質・線条体DA経路を破壊したラットにTRHの大量100mg/kgの腹腔内投与または50μgの健側尾状核内注入は破壊側に向う旋回運動を誘起し,この作用はhaloperidolまたはα-MTの前処置により著明に抑制された.また,TRH10-5~10-3Mの添加はラット線条体スライスからの14C-DAの遊離を促進した.従って,TRHの少量はDA受容体の増感状態下,cyclic AMP生成を増加し,DA postsynaptic transmissionを促進するとともに,大量では線条体神経終末からのDAの遊離促進を介してDA neuron活性を高めるものと考えられる.