Abstract
ホトク律ミックベンゾスピラン化合物を可逆特性をもつ画燥記録媒体に応用するためには光発色状態の安定性を制御することが重要である。そしてホトクロミヅク金属キレートの形成ほ発色種の寿命延長のために有効である。従来6-位にニトPt,8-位にメトキシル基をもつペンゾスピラン化合物(1ノ,3'-ジヒドm-1ノ,3',3t-トリメチルー6-ニトロー8-メトキシスピロ[2H-1-ベンゾピランー2,2'-[2H]インドール],SP-2とする)の溶液中における金属キレート形成は確認されていなかった。 本報告ではSP-2とCu(III)イオンの塩化水素を含んだ無極性溶媒(テトラヒドロフラン)中における光キレート反応を論ずる。SP-2,銅IDアセチルアセトンキレートCu(acac)2コおよびHCIからなる試料溶液を光照射すると無色から青ないしマゼンタ色が現われる。これは2種の発色化合物,単純なSP-2の開環発色種[A]:青色(λ=600nm)とSP-2と[Cu(acac)2]との間の生成物([B],マゼンタ(λ=510nm))め混成によるものである。これらの発色種は熱的に消失し,消色過程は-次反応である。そして2種の生成物のうちこBは安定でその-次反応速度定数は室温で[A]の1!5程度であった。試料中のHCl含有量を増すとHCI/[Cu(acac)]=3.7(モル比)で発色種は二つから[B]のみにすることができる。そして試料中における[Cu(acac)2]の含有量と[B]の吸光度の関係から,吸光度の極大値はSP-2ノ[Cu(acac)]ニ2(モル比)で現われると見積れ跨。 以上の結果,光発色種[B]は金属キレートであり,SP-2とCu(1)イオンの結合比は2であるとすることができる。またキレート化は2段階で行なわれると考えられ,最初SP-2は光化学的に開環発色種[A]になり,引きっづきそれがキレートである[Cu(acac)2]との間で配位子交換的にCu(III)イオンを引き抜くように反応してマゼンタ色の[B]となる。塩化水素の寄与は重要であり二つの効果を現わすと考えられる。-つはキレートを塩化物として安定化させることであり,他は酸性雰囲気を醸成してキレート形成反応を促進することであろう。

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