Abstract
インド洋における溶存炭水化物量をフェノール硫酸法を用いて定量し, その分布を報告する。用いられた試料は78°Eにおける5°Sから17°30'Sに至る四つのstationにおいて, 0~2,500m (水深) の間で22の層より採取された海水をミリポアフィルター (HA) でろ過したものである。この海域における溶存炭水化物量は0.19~0.66mg/lであったが従来の報告とは違ってその垂直分布における変化を認められ, 特に低緯度におけるstationで著しかった。すなわち, 0~100m層ではいずれのstationにおいても溶存炭水化物は上下一様に存在し, 0.21~0.39mg/lであったが, 100m以下の層ではむしろ溶存炭水化物量が増加し0.19~0.66mg/lを示した。特に赤道に近い二つのstationでは100~200m層に溶存炭水化物量の極大値を示す層が見出され, 何れも0.60mg/lかそれをうわまわる値を示した。しかしながらこのような垂直分布の変化の大きさは赤道から離れるにつれて減少し, 17°30'Sのstationではこのような溶存炭水化物量の極大値を示す層は見出されなかった。

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