Backgrounds of the carcinoma of gallbladder and extrahepatic bile ducts.

Abstract
胆嚢癌および胆管癌の剖検例における頻度を解析し, 特に胆石症との関連について検討した. 高齢者主体の剖検例4,482例 (男2,237例, 女2,245例, 平均年齢77.7歳) について剖検記録を調査し, 以下の結果を得た. 1. 胆嚢癌は94例, 2.1% (男24例, 女70例, 69~98歳, 平均年齢80.5歳) にみられ, 女性例が男性例に比べ有意に高率であった (p<0.01). 2. 男性における胆嚢癌および胆嚢結石の頻度は60歳から94歳までは加齢とともに増加する傾向が認められた (それぞれp<0.01, p<0.05) が, 胆嚢結石例における胆嚢癌合併頻度は60歳台以降では有意差がなかった. 3. 女性では胆嚢癌および胆嚢結石の頻度, 胆嚢結石例における胆嚢癌合併頻度はいずれも60歳台以降有意差がなかった. 4. 胆嚢癌は胆嚢結石保有例において非保有例に比べ有意に高く, さらに比較的早期の胆嚢癌には非胆嚢癌例に比べ, 有意に高率の胆嚢結石の合併を認めた (p<0.01). また胆嚢結石の種類では, 胆嚢癌非合併例に比し合併例においてコレステロール石が有意に高率に認められた (p<0.05). これらは胆嚢癌の背景因子としての胆石症, ことにコレステロール石の重要性を示唆するものである. 5. 胆管癌 (乳頭部癌および肝内胆管細胞癌は除く) は33例, 0.7% (男19例, 女14例, 66~91歳, 平均年齢78.2歳) にみられた. 胆管癌には性差はみられず, 胆管結石保有例には非保有例に比し有意に高率の胆管癌合併を認めた (p<0.01) が,多くの症例で胆管閉塞部位よりも上流に小さな結石を認めたことや, 胆道手術例11例では手術時に胆管結石がみられていないことから, 胆管癌に伴う二次的な胆石形成も否定し得なかった.

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