Further Studies on Polyhedroses of Some Lepidoptera

Abstract
1) 数種りんし目こん虫を用いて,カイコの多角体病誘発に効果のある種々の理化学的処理を行ない,多角体病の誘発を試みたが,その大部分において誘発が認められなかった。このようなカイコと野外こん虫における誘発効果に差異を生ずる原因については,潜在ウイルスの有無,潜在ウイルスの活性化の難易などが考えられる。2) カイコの細胞質多角体病ウイルスはヒマサン幼虫にも高率ではないが伝染することを明らかにした。この場合ヒマサン中腸細胞に形成された多角体は小形で不せい形を呈するが,これはカイコとヒマサンの中腸細胞中の生化学物質に相違があるためと考えられる。3) アメリカシロヒトリの核多角体には4角形と3角形のものがあるが,それぞれ別種のウイルスによって形成されると考えられる。この2種多角体を同時に添食すると,供試虫のすべてが混合感染するが,3角形多角体を添食したのちに4角形多角体を添食すると,3角形多角体のみが形成された個体が多かった。これはさきに侵入したウイルスがあとから接種されたウイルスの侵入増殖を妨げるためであろう。4角形多角体添食ののちに3角形多角体を添食した場合には,このような干渉現象はほとんど認められなかった。おそらく4角形多角体ウイルスが3角形多角体ウイルスよりもvirulenceが弱く,干渉する程度が低かったためであろう。

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