A case of hepatocellular carcinoma followed up for more than 2 years 6 months

Abstract
肝細胞癌の内科的治療法は未だ確立されておらず,殊にわが国では肝硬変の合併が多いことから外科的切除の適応となるものも比較的少ない.従って肝細胞癌の予後は現在でもきわめて不良である.しかし,まれに2年以上の長期生存例がみられる.著者らは最近2年6カ月以上にわたり経過した高分化型肝細胞癌の1例を経験したので報告するとともに,過去の報告例を加え,長期に経過する肝細胞癌,いわゆるSlow growing hepatomaについても考察を加えた.症例は57歳の男子,腹部膨満,右季肋部腫瘤を主訴として他院を訪れ,肝シンチグラムでSpace occupying lesion (S.O.L.)を認められた.α-Fetoproteinは23ng/mlであった.約2年後試験開腹施行,右葉の一部を腫瘤を含めて切除した.腫瘤は被膜によって完全に被包されており,腫瘍細胞は索状構造を呈し,細胞の異型度はごくわずかでEdmondson分類I型の高分化型肝細胞癌であった.非癌部は,乙'型肝硬変を呈していた.

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