Abstract
放射性廃棄物として重要な数種類の核種が, 海洋細菌によってどのような行動をとるかを実験的に追求した. 実験に供した核種は, 141Ce, 137Cs, 65Zn, 45Caであり, 用いた海洋細菌は, 三崎油壷湾に周年優位に出現するVibrio sp. である. 海水中の放射性物質の細菌による蓄積機構は, 細菌塊 (clump) を作るか否かで著しく異なる. 細菌塊を作らない時期では, 放射性核種の蓄積は細胞内への摂取および細胞表面への強力な吸着により行なわれる. 一方, これらの蓄積に比べて, 細菌塊中にとじ込められる放射性物質の蓄積量は著しく多い. かりに, 上記の機構による放射性物質の蓄積を海洋細菌における濃縮とするならば, 各核種の濃縮係数は, 細菌の塊化状態によって大きく影響され, 大略下記に示すような実験値が得られる. 141Ce: 967-8114, 137Cs: 0.8-68.7, 65Zn: 90-164, 45Ca: 0.2-10.4.