Phylogenetic Relationships of the Skinks of the Genus Eumeces (Scincidae: Reptilia) from East Asia
- 1 January 1993
- journal article
- Published by Herpetological Society of Japan in Acta Herpetologica Japonica
- Vol. 15 (1) , 1-21
- https://doi.org/10.5358/hsj1972.15.1_1
Abstract
東アジア地域に分布するトカゲ属(Eumeces)の種および種内群に北アメリカに分布する近縁種を加え,これら種,種内群間の系統関係の解析をおこなった.単一種からなり,種群が異なるE.quadrilineatusを,他のグループの外群として用い,分類形質として,これらの種,種内群の間で差異の見られる鱗相と体色,模様を選び,種内変異のある状態も,一つの独立した形質状態として扱った.2つの種群,E.fasciatus群,E.obsoletus種群それぞれについて,形質データをブランチ・アンド・バウンド法にかけて,最節約系統樹を求め,得られた複数の最短系統樹から,合意分岐図を求めた.また,扱ったすべての種,種内群,26単位について絶対距離行列から近隣結合法による系統関係の推定もおこなった.これらの系統解析の結果,東アジアにおけるトカゲ属の種間の系統関係が明らかにされ,さらに従来の属内の分類に変更が加えられた.すなわち,Taylor(1935)のE.fasciatus種群内には,3つの群が認められ,北米のE.fasciatus種群,東アジアの島嶼に広く分布するE.latiscutatus種群,中国大陸に分布するE.capito種群に分割された.また,TaylorのE.obsoletus種群は単系統群ではなく,異なる3つの種群からなると結論付けられた.すなわち,北米のE.obsoletus種群,ベトナムのE.tamdaoensis種群,中国のチュウゴクトカゲと宮古・八重山諸島のキシノウエトカゲを含むE.chinensis種群である.このようにして推定された系統樹に基づき,地史的な観点から,これら種の分化に説明を加えた.すなわち,東アジアのトカゲ属は,北米からベーリング陸橋を経て,東アジアに渡来した複数の系統が分化したものと推定された.とくに,E.latiscutatus種群の種分化は,日本と琉球列島の地史と関係づけられた.This publication has 0 references indexed in Scilit: