On the Boron Content of the Shallow-Water Deposits

Abstract
石川県七尾湾の浅海底土のホウ素含量をしらべ, 更にホウ素含量と水深ならびに沿岸の地質との関係をみるために, 岡山県笠岡湾, 島根県隠岐ならびに本州周辺の各種の島嘆から採取した浅海堆積物を分析した. 七尾湾海底土のホウ素含量は16~103ppmの範囲にわたり, その平均値は67±20ppmであった. 外洋の影響を受けやすい七尾湾北湾の海底土のホウ素含量 (平均値56±12ppm) は, 比較的その影響の少ない七尾湾南湾のもの (平均値90±9ppm) よりかなり低い. これらの浅海底土のホウ素含量は有機物含量の増大と共に増加する. ホウ素含量とイオウ, 有機炭素, 窒素およびバナジウム含量との間には正の相関関係が存在する. 笠岡湾および隠岐から採取した試料のホウ素含量はそれそれ16~29および28~40ppmの範囲にわたるが, この結果だけでは水深との相関は明瞭でない. 本州周辺の比較的均一な地質から成る小さな島嶼 (23か所) から採取した. 主に砕屑岩源の砂よりなる浅海堆積物のホウ素含量は11~48ppmで, 平均23±10ppmである. これは上述の七尾湾海底土の平均値67±20ppmのほぼ1/3である. また, これらの試料のホウ素含量は沿岸の地質と関連が深く, 酸性火成岩類の主に分布している島から採取した試料には比較的ホウ素が多く (平均値20±5ppm), 塩基性火成岩に由来する試料には少ない (平均値12±1ppm). これに対して, 上部古生界を除く主に堆積岩よりなる島から採取した試料は25~48 ppmにわたる, 比較的高いホウ素含量を示す.

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