Abstract
肝内胆汁うっ滞時における,ウルソデオキシコール酸(以下UDCA)投与の有効性を実験的にラット肝内胆汁うっ滞モデルとラット分離肝細胞を用いて検討した.17α-ethynyl estradiol(EE)によるラット肝内胆汁うっ滞モデルに,UDCAを経口投与すると,毛細胆管膜のアルカリフォスファターゼ活性がよく保たれ,経静脈的に投与したindocyanine greenの胆汁中排泄が,有意に改善した.胆汁流量および胆汁酸排泄量の測定からはUDCA群において胆汁酸非依存性分画の胆汁が増加する傾向にあった.分離肝細胞において培地中のタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)を増加させると,タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)による肝細胞膜障害が有意に緩和された.これらの結果より,経口的UDCA投与は,EEによる胆汁うっ滞の程度を軽減し,その効果は胆汁うっ滞で増加するケノデオキシコール酸(CDCA)の肝細胞障害に対するUDCAの保護的作用と関連があるものと思われた.

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