An Endocrinological Study on Werner's Syndrome: With Presentation of Three Patients of Different Pedigrees

Abstract
Werner 症候群自験3例 (35歳女性, 43歳男性, 53男女性) の内分泌系機能を検討し, 文献例の成績と併せ考察した.まず成長ホルモン分泌については, insulin 低血糖に対する反応が3例とも低かった. 甲状腺機能は各例とも甲状腺ホルモンが正常内低値ないしやや低値であったにも拘らず, 2例でTSHが高値を示し, うち1例でTRH負荷時のTSHが過剰反応を示した. 視床下部-下垂体前葉-副腎系テストでは, 急速ACTH負荷テスト上異常反応を認めないに拘らず, metyrapon 負荷で尿中17-OHCSは無ないし低反応の傾向があった. さらに, 11-OHCS日内リズムも2例で夜間の高値が認められ, TSH動態の異常例があったことを考え併せると, 視床下部-下垂体系調節機構異常の可能性が推定される. 性腺系では, 男性例で血中FSH, LHが低値であり, LH-RHに対しても低反応であったが, 睾丸組織では間質細胞の増生が認められ, 原発性の性腺発育不全の可能性も否定できなかった. また, 女性1例では5回の出産を経験していた. 2例で Goldsmith の方法に従いCa静注負荷を行ったが, 副甲状腺機能亢進症の所見は得られなかった. 血漿 renin 活性は2例で正常高値ないし高値であった. 糖代謝系では3例とも耐糖能障害を認め, 糖負荷時IRIの過大反応をみた. しかし, 2例の Tolbutamide 負荷テストでは, IRIは正常反応であった. これらのデーターは, 本症では末梢組織での insulin 作用発現の障害があることを予想させる.本症の内分泌学的異常は多岐にわたり, 文献例の成績を考慮すると各症例間で相反する所見を認めることが多い. 従って, 内分泌系の異常を本症候群の一次的成因として理解することは難しい. また, 加齢による変化と異なる点も多い.今後は細胞レベルで本症の加齢現象の本態が検討される必要がある.

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