Abstract
国別また個人間における,C型肝炎ウイルス(以下HCV)の多様性が報告されている.そこで5人の肝癌合併C型肝硬変患者肝組織よりHCVの構造領域を検出し,現在まで報告されている他の日本型クローン及び米国型クローンと比較検討した.5'non-coding領域は良く保存されcore領域も比較的良く保存されていた.しかしenvelope (E1, NS1/E2)領域では日本型と米国型の違いが認められた.さらに詳しく多様性を検討するとNS1/E2領域に特に多様性に富む領域を2箇所(HV1, HV2)認めた.疎水性プロットの検討ではHV1, HV2それぞれに全てのクローンに類似した親水性を示す部位が存在し,同部位の蛋白の2次構造の解析では共通して,ターン構造を示した.したがって,HCVのHV1, HV2がエイズウイルスのenvelopeで報告されている可変領域のごとく宿主免疫応答と重要な関わりを持つ部位である可能性が示唆された.

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