Clinical Relevance of the Streptococcus Milleri Group in Head and Neck Infections.
Open Access
- 1 January 2002
- journal article
- abstracts
- Published by Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc. in Nippon Jibiinkoka Gakkai Kaiho
- Vol. 105 (1) , 14-21
- https://doi.org/10.3950/jibiinkoka.105.14
Abstract
Streptococcus milleri group (S. constellatus, S. intermedius, S. anginosus) は口腔等粘膜面の常在菌ながら, 全身の膿瘍性疾患や市中肺炎の起炎菌として近年注目されている. これらの菌種が, 各領域の感染症にどの程度の割合で分布しているのか, またその中に占める耳鼻咽喉科感染症の割合, 感染病態等は明らかにされていない. 耳鼻咽喉科感染症における本菌種の臨床的意義を明らかにするために, 過去3年間に当院で分離・同定された本菌種275株の由来診療科別内訳, 耳鼻咽喉科疾患の臨床像とその分離株に対する薬剤感受性を検討した. 全検出株の内訳は, 歯科 (19.6%), 内科 (17.1%), 耳鼻咽喉科 (16.0%), 外科 (15.6%), 産婦人科 (11.6%), 泌尿器科 (6.2%), 皮膚科 (5.8%), 脳神経外科 (4.0%), 小児科 (2.2%), 整形外科 (1.1%), 眼科 (0.8%) であった. 耳鼻咽喉科44株は42疾患から分離され, (1) 一般感染症として扁桃炎5例, 深頸部膿瘍4例, 副鼻腔炎4例, 先天性耳瘻孔感染3例, 歯肉膿瘍2例, 副鼻腔嚢胞2例, 扁桃周囲膿瘍1例, 化膿性耳下腺炎1例, 術後創感染1例, (2) 頭頸部癌治療に伴う感染症として術後創感染7例, 術後肺炎3例, 咽喉頭炎3例, 終末期肺炎3例, 再発巣部感染3例であった. 単独検出例は (1) 群60%, (2) 群26%, 同時検出菌は (1) では一般に病原性が強いと考えられている菌種は見られず (常在菌性のものがほとんど), (2) 群では日和見感染症に見られる菌種が多かった. 薬剤感受性はCCLとCTMに抵抗性を示す菌株が多く, ABPC, CPDX, CFDNにも感受性がやや劣る傾向であった. S. millerigroupは, 培養・同定方法の特殊性のためにこれまで一般臨床の場で見過ごされてきた可能性が大きい. しかし抗菌剤の普及に伴い, 常在菌叢と宿主免疫能との適正な関係が破綻する機会が増し, 本来は常在菌である本菌種が耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の重要な起炎菌の一つとなってきている可能性も否定はできない.This publication has 0 references indexed in Scilit: