Electronic Structures and Reactivities of Bicyclo[l. 1. 1]pentane
Open Access
- 1 January 1969
- journal article
- Published by The Chemical Society of Japan in Nippon kagaku zassi
- Vol. 90 (2) , 142-150
- https://doi.org/10.1246/nikkashi1948.90.2_142
Abstract
ピシクロ[1.1.1.]ペンタン[1]・ビシクロ[2.1.1]ヘキサン[2],ピシクロ[2.1.1]ヘプタン[3],ピシクロ[2.2.2]オクタン[4],および相当する1一クロルビシクロ化合物類とその1一カチオン類の電子状態を,拡張Hilckel法および化合物[1]についてはASMO SCF法でも計算した.拡張Hukel法によるピシクロ[1.1.1]ペンタン[1]の構造は,数種の異なった立体配置について計算した結果,全電子エネルギーは,図1におけるθ=7°(γ=90°20')のとき安定となることがわかった。またASMO SCF法の計算結果から,化合物[1] はθ の変化によって,その安定性および軌道の性質が大きく変化することが明らかにされた。さらにピシクロ[1.1.1]ペンタン(1)の励起エネルギ-は,4.90eV,f=0,6.64eV,f=0.147とえられたが,この励起エネルギーの値はオレフィンの励起エネルギーに近い値である。一連のピシクロ化合物の軌道エネルギー・電子分布を比較することによって,ピシクロ[1.1.1]ペンタン[1]は,[A];イオン化ポテンシャルが小さく・電子親和力に富んでおり,[B];橋頭炭素一水素間結合ではs性が大きく,第三級水素間の結合定数が大きいこと,[C];ピシクロ[1.1.1]ペンタン環は電子吸引力が大きいということが明らかにされている.最後に,1-クロルビシクロ化合物の加溶媒分解反応について,そのカチオンの電子分布からピシクロ[1.1.1]ペンタン環およびピシクロ[2.1.1]ヘキサン環は開環生成物を生じるが,ピシクロ[2.2.1]ヘプタン環およびピシク0[2.2.2]オクタン環は環開裂の起こらないことを明らかにしえた。This publication has 0 references indexed in Scilit: