Analysis of the Causes of Death in the Aged
- 1 January 1970
- journal article
- Published by The Japan Geriatrics Society in Nippon Ronen Igakkai Zasshi. Japanese Journal of Geriatrics
- Vol. 7 (5) , 313-321
- https://doi.org/10.3143/geriatrics.7.313
Abstract
高令者の死因の特異性を明らかにするため臨床病理学的調査研究を行った. 対象は東京都養育院および同付属病院にて死亡した昭和42年1月から昭和44年12月までの連続剖検592例 (男244例, 女348例) で, 剖検所見を基にして主要病変と直接死因の二大観点から調査分類した. また急死を発症1時間以内に死亡した突然死と24時間以内に死亡した予期しない死との2群に分類して検討した.直接死因が単一原因だったのは456例 (77%) で,残り136例 (23%) では複合病変を呈した. 直接死因の順位は呼吸器疾患 (49.2%), 中枢神経系疾患 (27.7%), 循環器疾患 (15.3%), 悪性新生物 (9.6%), 消化器疾患 (9.6%), 泌尿器疾患 (8.6%) であった. 主病変が直接死因に一致したものは383例 (64.7%), 両者不一致は209例 (35.3%) に達した. 主病変が単一原因のもの463例 (78.2%), 複合病変のもの129例(21.8%) であった. その順位は中枢神経系(38.2%), 呼吸器系 (24.5%), 循環器系 (23.6%), 悪性新生物 (15.5%), 消化器系 (8.4%), 泌尿器系 (5.9%) の順であった. 本邦死因順位と比較すると剖検による死因分類には老衰はほとんどなく, 高令者の直接死因としての呼吸器疾患は極めて重要と考えられた.急死は突然死38例, 予期しない死65例, 計103例 (17.4%) にみられた (男58, 女45). 循環器疾患の急死率は40.4%ともっとも高く, 以下呼吸器疾患12.9%, 中枢神経系疾患12.8%が主要である. 循環器疾患の中, 心破裂5, 大動脈破裂7, 高度房室ブロックを呈する心筋硬塞3は特有, 呼吸器疾患では突然死は窒息が多く, 予期しない死は肺炎の潜在性進行が本体であった. 中枢神経系では突然死は少なく, 大部分は予期しない死に含まれ大脳, 脳幹, 橋, 小脳の出血である. 心電図544枚を検討し, とくに高度房室ブロック, 左軸偏位, 右脚ブロック, 心筋硬塞, 心室性期外収縮が急性心臓死に高頻度にみられることを指摘した.Keywords
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