Asymmetric Conjugate Addition of Organocopper Reagents.

Abstract
汎用される高活性有機金属反応剤を不斉触媒反応の炭素求核剤として組み込み可能とする手法の開発を, この数年の課題として研究を進めてきた。中でも有機リチウム類の汎用性と秘められた可能性に着目したアプローチは, キラルエーテルやキラルアミノエーテルをリチウムの配位子としイミンを基質とする触媒的不斉1, 2-付加反応, 不飽和イミンや不飽和エステルを基質とする触媒的不斉共役付加反応の実現に辿り着いた。共役付加反応への一般化を命題とする限り, 有機リチウムと一価のハロゲン化銅から調製される有機銅を検討反応剤とするのは極めて自然な流れであろう。有機銅のα, β-不飽和カルボニル化合物への共役付加反応はカルボニル基のβ位に炭素-炭素結合形成を可能とする極めて有用な一般反応である。したがって不斉化が実現できれば, 合成反応としての価値はより一層高まる。本総説では基質制御によるジアステレオ面選択的反応と反応制御剤によるエナンチオ面選択的反応に分け, 有機銅反応剤の不斉化への歩みと現状を概観する。

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