Neuropathology of the centenarian brains.
- 1 January 1985
- journal article
- case report
- Published by The Japan Geriatrics Society in Nippon Ronen Igakkai Zasshi. Japanese Journal of Geriatrics
- Vol. 22 (6) , 530-535
- https://doi.org/10.3143/geriatrics.22.530
Abstract
100歳から115歳にわたる5例の長寿者の脳を病理学的に検討した.1) 症例はいずれも女性で, 従来ほとんど病気らしい病気をせず, 比較的長寿の家系のものが多い.2) 精神機能の障害は死亡の数年以内に目立ってきている.3) 死因は, 肺炎, 心不全, 肺癌, その他である.4) 全身臓器の著明な萎縮があり, 脳重は950~1,170gで, 全葉に回転萎縮がみられた.5) 脳に肉眼的粗大病変のあるものは3例で, 出血, 梗塞とも小さなものであった.6) 組織学的には, 生理的老年変化と関連した神経細胞数の減少, 萎縮, リポフスチン沈着, 軸索ジストロフィー, マリネスコ小体, トルペドーなどはいずれも高度であった. 一方, 病的老年変化である老人斑, アルツハイマー原線維変化, アミロイド・アンギオパチー, レビー小体, 顆粒空泡変性などの出現は一様ではなく, 老人斑は2例にのみ著明で, 他の3例ではアンモン角に少数あるいは, 全くみとめられなかった. アルツハイマー原線維変化はアンモン角で全例にみとめられ, 数も多かった.以上, 100歳老人の脳の変化は生理的老化と病的老化の両方の特徴をしめし, 粗大病変は一般に軽度であった.This publication has 0 references indexed in Scilit: