Abstract
薄層クロマトグラフィーによる金属イオンの一斉分析法を試み,一般的な24種の金属イオンを直接定性しうる方法を見いだした.すなわち吸着剤,結着剤,展開溶媒などの検討の結果,塩酸処理により精製したシリカゲルに対して可溶性デン粉を5%加え,0.3mmの厚さに作ったプレートを使用し,また展開溶媒を検討した結果,次の3種類すなわち(1)アセトン-3N塩酸(99:1),(2)メタノール-n-ブタノール-35%塩酸(80:10:10),(3)n-ブタノールーベンゼン-1N硝酸-1N塩酸(50:46:2.6:1.4)を用い(1)でニッケル,コバルト,銅,鉄,鉛,マンガン,クロム,(ヒ素),(2)でバリウム,ストロンチウム,カルシウム,マグネシウム,アルミニウム,アンモニウム,ナトリウム,カリウム,リチウム,(3)ではアンチモン,ヒ素,(銅),カドミウム,スズ,ビスマス,亜鉛,水銀をそれぞれ確認することができた.更に展開溶媒の組成とRf値との関係,イオン価を異にする同一元素(ヒ素,スズ,鉄,アンチモン,水銀など)の挙動などについて検討した.