Isoelectric Points of Phospholipids at the Oil-Water Interface

Abstract
卵黄から単離したリン脂質ホスファチジルコリン (PC),ホスファチジルエタノールアミン (PE),あるいはスフィンゴミエリン (SM) をメチルイソブチルケトンに溶かし,これと無機電解質水溶液との界面の電気毛管現象から,これらのリン脂質の界面等電点pHiを求めた。まず,水相が10-4mol/l硝酸カリウムの場合,PCのpHiは3.3で,同じ組成のエマルションの電気泳動測定から求めた等電点と一致した。一般に,水相の電解質濃度が低下すると,pHiは電解質の種類に無関係な一定値に近づき,その値はPC,SM,PEでそれぞれ3.1,2.3および1.4であった。一方,電解質濃度が増すと,pHiが変化する。たとえばトリウム塩についていえば,PCやSMではpHiが低下するが,PEの場合には逆に増大した。前者はトリウムイオンの吸着による界面電位の増加に基づく界面のpH変化であり,後者は界面のリン脂質分子のリン酸基における水索イオンと金属イオン結合のせりあいによるものと考えられる。

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