Abstract
食道癌は予後不良な消化器癌であり, 治療成績を向上させるためには, 予後因子を正しく把握する必要があり, 食道癌の予後因子に関して検討した. 対象は胸部食道癌右開胸治癒切除例410例であり, 解析方法は予後因子を宿主要因, 食道癌取扱い規約に基づく腫瘍要因, 治療要因の3要因に大別し, Coxの比例ハザード法により行い, 以下の結果を得た. 宿主要因は予後因子ではなく, 腫瘍要因ではn因子, 脈管侵襲度, 細胞異型度, 構造異型度, 浸潤度, 壁内転移が予後因子であり, なかでもn因子は最大の予後因子であり, 総転移個数, 転移状況, 転移部位も予後と関係した. 治療因子では, 頸部郭清を含む3領域郭清を伴う拡大手術が2領域を主とした手術より予後良好であり, n (-) およびn3 (+) 以上の症例で特に有効であった. また今回の検討では化学療法, 放射線療法などの補助療法の効果は認められなかった.

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