Abstract
四つの黒潮海域より得られた海水中の溶存および浮遊物炭水化物量を測定し次のような結果を得た. 1) 南西諸島, 伊豆諸島および本邦東方海域 (JEDS-4 (1961) およびJEDS-5 (1962) 等) からの海水中の溶存炭水化物量はそれぞれ0.21~0.43mg/l, 0.25~0.46 mg/l, および0.09~0.43 mg/lの範囲で測定された. 表層水および中層水中の炭水化物量は海域によって多少の差異のあることが認められたが, 一般的には表層から1,000m層あたりまではほぼ均一に存在し, それ以深の層では深度とともに減少していく傾向にあった. 2) 南西諸島および伊豆諸島付近の黒潮海域から得られた浮遊物中の炭水化物量はそれぞれ9.8~30.0μg/lおよび9.9~33.9μg/lであった. この量は表層水で多く, 深度とともに減少し, 500m以深では10μg/l前後の値になった. 3) 溶存炭水化物量は浮遊物炭水化物量よりも常に多く海水中に存在していることが認められた. すなわち前者の後者に対する比は表層水において約10前後であったが, 深度とともに増加し, 深層水ではその比が35を越える場合も認められた. 更に, 著者および他の研究者によって従来得られた結果を用いて, 海水中における溶存および浮遊物炭水化物の量的関係について多少の討論をする.

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