Behavioral pharmacology of amantadine with special references to the effect on abnormal behavior in mice and rats.

Abstract
最近,amantadineは臨床上ムード改善作用の他に脳血管障害患者の意欲や自発性減退を改善するような効果が報告されるようになってきたので,本薬物の薬理作用を見直すために行動薬理学的検討を行い,imipramine,L-DOPA,methamphetamineの作用と比較した.1) amantadineは10 mg/kgの腹腔内投与で運動量,立ち上り動作の減少,50 mg/kgでは立毛と被刺激性の増大さらに80 mg/kgから協調運動障害,100 mg/kgで間代性けいれん,200 mg/kgでは死亡例が認められた.2) amantadineはmethamphetamineによる運動興奮を抑制したが,apomorphineの常同行動に対しては作用がなかった.この点がimipramineの作用と異なっていた.3) 本薬物はhaloperido1カタレプシーに対してimipramineと同程度の抑制作用を示したが,L-DOPAはほとんど作用を示さなかった.一方,Δ9-tetrahydrocannabinol(THC)のカタレプシーに対してはimipramineの40倍,L-DOPAの400倍も強力な抑制作用を示した.4) 嗅球摘出ラットのmuricideに対してamantadineはimipramineと同程度の抑制作用を示したが,THCによって誘発されるreversible muricideに対してはmethamphetamineの3.5倍,imipramineの8.8倍,L-DOPAの225.5倍も強力な抑制作用を示した,5) 6-hydroxydopamine(6-OHDA)処置によって片側の黒質を破壊したラットに本薬物50 mg/kgを投与しても旋回運動は発現しなかった.6) 6-OHDAを側脳室内に投与したラットにamantadine 50 mg/kgを投与すると鳴声を特徴としたirritable aggressionが発現した.これはL-DOPAおよびapomorphineによるaggressionとは異なっていた.以上,amantadineの薬理作用は抗うつ薬に類似した点が多いが,imipramineやL-DOPAとは明らかに異なる性質もある.とくにTHCによって誘発されるカタレプシーおよびmuricideをきわめて著明に抑制する点は本薬物の重要な特性と考えられる.